成年後見制度とは

2018-04-28

成年後見制度とは

 判断能力が不十分な人が安心して暮らせるように支援する制度です。

概要

 成年後見制度とは、認知症、知的障がい、精神障がいなどの精神上の障がいが理由で判断能力が不十分な人の財産管理(財産を守る)と身上監護(生活を守る)のために援助者を選び、法律的に援助する制度です。
 成年後見制度には、法定後見と任意後見があります。

(1)法定後見 – 判断能力が不十分になってしまったら

事例

・一人暮らしの母親が訪問販売で必要のないものを買わされているようです。
・認知症の父と同居している姉が、勝手に母のお金を使っているようです。
・息子が知的障害で、自分たちが年をとり亡くなった後が心配です。

概要

 既に判断能力が不十分となられた人の程度に応じて 後見・ 保佐・補助の3種類があります。家庭裁判所に申し立てを し、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人を成年被後見人と言い、この成年被後見人を後見する人(援助者)を成年後見人と言います。 成年後見人は財産管理(財産を守る)や身上監護(生活を守る)に関することを代理権・同意権・取消権といった権限より、援助するのが後見の制度です。

申立手続

管轄

 ①本人の住所地の家庭裁判所
 ②一時的に施設・病院に入所・入院している場合はもとの居住地が住所地とされる。
 ③長期に入所・入院している場合で、元の居住地に戻る可能性が低い場合には、あらかじめ住民登録地を当該施設・病院の所在地に移転し、居住している地と住民登録地とを一致させておくことが望ましい。

申立てをすることができる人

 本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者、区市町村長など

申立て手続のながれ
  • Ⅰ 手続の説明・・・家庭裁判所の説明会で申立に 必要な書類一式を受け取る
  • Ⅱ 申立までの準備 ・・・申立提出書類作成
  • Ⅲ 申立て・・・申立書類を家庭裁判所に提出
  • Ⅳ 鑑定・申立人調査・後見人等候補者調査・本人調査・同意照会
  • Ⅴ 審 理 ・・・提出された書類、調査結果、官邸結果の内容を検討
  • Ⅵ 審 判 ・・・成年後見人が選ばれ、「審判書謄本」を申立人及び成年後見人に送付
  • Ⅶ 審判確定 ・・・成年後見人が「審判書謄本」を受け取ってから2週間後審判が確定
  • Ⅷ 登 記 ・・・審判の確定した後、さらに2週間が経過すると登記事項証明書を法務局でとることができる

(2)任意後見 – 判断能力が不十分になる前に

事例

・ 一人で生きてきましたが、先のことを考えると、介護や葬儀など一人では人生終われないことがわかりました。人様に迷惑をかけたくないので、元気な今のうちに何かあった時にどうしたらいいのか考えておきたいです。

概要

 任意後見制度は、判断能力があるうちに、判断能力が不十分になった後も、自分が希望する老後の生活を実現できるように、本人自ら準備しておくものです。
 公証役場で本人の希望を公正証書にしてもらいます。将来、自分の判断能力が低下してきた時には、家庭裁判所に申し立てをします。任意後見人(援助者)の仕事は公正証書で契約した範囲でおこなわれます。

任意後見契約締結までの準備

⑴委任すべき事項の決定

 ①まず、任意後見契約公正証書を作成するにあたっては、誰に、何を本人に代わって行ってもらうのかを決める必要があります。
 ②自分にどのような財産があるのか
 ③それをこれからどうしていきたいのか
 ④判断能力が低下した場合にどのような介護をしてもらいたいか等
 ご自分の希望に基づいてそのためにどんな代理権を与えておくのがいいのかを考えていくことになります。

⑵意思能力についての留意点

 任意後見契約も契約ですから、本人に契約をする能力があることが必要です。契約締結能力の前提となる意思能力となる判定はなかなか難しく第三者に確認してもらう必要があります。必要に応じて専門医を受診し、意見書や診断書を得ておくと公正証書作成時に役たちます。要介護認定を受けている高齢者であれば主治医(かかりつけ医)が必ずいますのでその意見書や診断書をもらっておくのも有用です。

⑶意思の文章化としての公正証書

 任意後見契約は法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない(任意後見2)。公正証書を作成する際に、契約内容や必要な代理権の様式など公証人に細やかな相談をすることはできますが、まず、自分の意思を基にして、任意後見人に委託する事務や付与する代理権など委任事項を決めていくとよいでしょう。

⑷財産目録の作成

 財産や預貯金の管理を頼みたい場合には、自分の保有する財産についてできるだけ正確な目録を作成する必要があります。財産目録から漏れているとそれについての代理権が認められないことになり支障が生じることになります。

⑸ 任意後見契約の類型

 しっかりとした判断能力があるうちに将来の備えができる点が特徴で、以下の3つの異なる形式があります。
①移行型
 契約と同時に財産管理などを委任する契約を作成しておけば、直ぐにでも支援を依頼。この移行型は、契約締結時から受任者に財産管理等の事務を委託し、自己の判断能力の低下後は任意後見監督人選任の申立てを行い、その下で、任意後見人として事務処理を続けてもらうものです。この場合には、通常の任意代理の委任契約と任意後見契約を同時に締結し、本人の判断能力低下前の事務は「任意代理の委任契約」により処理し、判断能力低下後の事務は「任意後見契約」による任意後見人として行うものです。
②即効型
 まだ契約を結ぶ能力はあるが、体調によって判断能力に支障がでることも考えられる場合には、直ぐにでも任意後見監督人選任申立てを家庭裁判所にすることによって速やかに任意後見人としての支援を開始する契約となり、「即効型」となります。
③将来型
 今のところ何の後見的支援も必要としない場合、将来に備えて契約のみを締結しておくのが「将来型」です。

代理権目録の作成

 任意後見契約は「契約行為」なので、任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかは、話合いで自由に決めることができます。まず、委任事務を明確にするため、代理権目録を作成します。  
 代理権目録は、「付録第1号様式」と「付録第2号様式」とがあります。
 「付録第1号様式」は、想定される代理権内容を記載された様式で、委任する項目をチェックして作成するものです。本人の意向を確認しつつ行える利点があります。
 「付録第2号様式」は、代理権内容を個別に特定して記載するものです。委任内容が非常に限定的な場合(財産管理のみ)や、生活状況や本人の性格などを考慮し、将来的に「付録第1号様式」での任意後見事務内容の範囲では対応できないことが予想される場合に使用します。

契約費用

契約時にかかる費用

 ①公正証書作成の基本手数料 1万1,000円(公証人手数料令9・16)
 ②登記嘱託手数料      1,400円(公証人手数料令39の2)  
 ③登記所に納付する印紙代  2,600円(登記手数料令6の4)
 ④書留郵便 実費  
 ⑤用紙代  250円×枚数分
 ⑥任意後見契約書作成費用など

後見開始後にかかる費用

・裁判所での申立費用など
・後見人への報酬
・任意後見監督人への報酬
・各種手続きの報酬
・不動産売買や遺産分割事務など

その他の契約にかかる費用

・見守り契約
・任意代理契約
・死後事務委任契約
・遺言執行